WEB動画市場は、本当のところどこが伸びているのか?――動画広告に「本気で取り組む」人のためのコラム vol.1

酒井英典

株式会社サイバーエージェントオンラインビデオ総研 所長

 

オンラインビデオ総研・所長の酒井です。

本コラムはWEBで動画広告プロモーションに取り組みたい人、既に取り組んでいる人、をターゲットした業界人向けのコラムです。動画広告市場の「健全な発展」に寄与するための情報を提供します。いわゆる「プロ向け」の記事です。一般の方には専門的すぎる内容かもしれません。

毎回、テーマを一つに絞って書きます。週1本くらいのペースで進もうかと。

内容に対するご意見もぜひ頂戴したいです。よろしくお願い致します。

第1回目、今回のテーマは、こちらです。


WEB動画市場は、本当のところどこが伸びているのか?


 

スマートフォンを中心としたモバイル面が激増。

トラフィックの伸びに連動

まずはこちらをご覧ください。

オンラインビデオ総研/デジタルインファクト調べ、で私たちが発表している内容なのですが、国内動画広告市場の大きな流れは明らかに「スマートフォンにシフト」していく模様です。元々、モバイル系のトラフィックが伸びているので、それに広告在庫が追いついてくるイメージです。PC系も多少は伸びていく見込みですが、モバイル系の勢いには敵いそうもありません。

2020年には2000億の大台を超えて2300億円の市場規模となる見込みです。「2300億円市場」というと、雑誌広告(約2500億円)よりやや少なく交通広告(約2054億円)よりも大きいという規模感。ラジオ(約1272億円)や衛星放送(約1217億円)よりも大きな市場となる予測です(※)。

※カッコ内の数字は電通「日本の広告費2014」より。

昨年特に伸びていたのは「インフィード広告」

モバイル面の動画広告在庫の中で、昨年から今年にかけて大きく規模を伸ばす見込みなのが、SNSを中心としたインフィード広告です。

具体的にはFacebook, Twitterの主要ソーシャル面を中心としつつ、昨年6月より動画広告に対応しているLINE(タイムライン面)や、 2017年の3月中旬から動画広告に対応したYahoo!(ニュース面)など、新規在庫の拡大も、市場規模を押し上げる要因となっています。

なお、YouTubeやGyaO!, AbemaTV, TVerなどの「インストリーム広告」は、主要枠であることは間違いないですが、配信フォーマットの整備が既に進んでいることもあり、急激な在庫増加は無さそうです。

モバイル面のインフィード広告は、TVCMやインストリーム広告面と違い、独特な動画フォーマットが開発されている特徴があります。

まずファーストビューは基本的に「無音」です。フォーマットの構造上、数秒でフィード上を流れていってしまうことが多く、テレビCMのように「オチ」を重視する動画構造だと相性が悪くなってしまう可能性があります。SNSのモバイル面は「縦型」で使われているため、1:1のスクエア動画や、9:16の縦型動画など、これまでの画一的なヨコ型16:9とは違う動画フォーマットが開発され、注目されています。

WEB動画メディアはもはや「マスメディア」のレベルに

WEB動画はテレビCMほどの規模は無いです。テレビCMの短期間かつ大規模なimpression量は、どの媒体も代替できません。その一方で、若年層に対するリーチ効率では、WEB動画の方が効率が良い、という側面もあります。

更に、例えば18-34歳の男女に対して、など、若年層だけに絞って考えると、複数のWEB動画メディアを合わせて配信した場合、マスメディア級の人口カバー率を達成できる可能性があります。

若年層はテレビCMのリーチ率が下がってきていることもあり、テレビCM単体ではマスメディア的なリーチ量を担保できなくなっています(下図参照)。TVCM+WEB動画のハイブリッド配信によるリーチの嵩上げが求められる現状。広告商品やターゲットにより状況は様々ですが、WEB動画メディアへの配信はより一般的となり、コスト効率を重視した配信設計が重要となっています。

内容サマリ

・WEB動画市場、伸びているのはモバイル面、2020年2300億円市場に。

・インフィード面の開拓が進んでいる、フォーマットも多様化。

・動画メディアを組み合わせれば、若年層ではマスメディア級のカバー率も。

 

次回もよろしくお願い致します。


  • 酒井英典 株式会社サイバーエージェントオンラインビデオ総研 所長

    博報堂でコピーライター兼CMプランナーとして、自動車や携帯電話キャリアのクリエイティブ制作を担当。その後、モバイル系の広告代理店、テレビCM枠の買い付けを含むメディアプロデュースを経験。
    2013年にサイバーエージェントに入社。2015年10月よりオンラインビデオ総研を設立に伴い所長に就任。動画広告の新商品開発・運用・制作を幅広く担当。動画広告配信における新商品「ローテレ配信」「アジャイル型配信モデル」などを開発。 2016年よりデジタルハリウッド大学院・非常勤講師。