「話す力」と「2万人のネットワーク」を活かした、現代版販売促進のカタチ--株式会社CyCAST社長曽山哲人

企業のマーケティング手法の一つとして、注目を浴びている「ライブ配信」。
前例の少ない領域であるため、どうすれば事業として成り立たせられるのか、正解を模索している企業は少なくないだろう。

そんな中、ライブ配信で販売促進番組を放送する企業が誕生した。その名も「CyCAST」。

社長を務めるのは、株式会社サイバーエージェントの取締役人事統括も務める曽山哲人さん。曽山氏は、「ソヤマン」という名で販売促進番組のMCを務めている。

人事統括、社長、そして番組MCという3つの役割を担う中で見えてきた、動画広告を成功させる秘訣について、話を伺った。

ライブ配信する“人事統括”兼“社長”が誕生したきっかけ

--本日はよろしくお願いいたします!株式会社CyCASTは、曽山さんが提案して設立することが決まったのですよね?

曽山:そうです!当社の立ち上げが決まったのは、2016年9月にサイバーエージェント社内で実施した「あした会議※」です。販促番組を制作して放送する会社を私から提案して、立ち上げに至りました。

※あした会議…新規事業や課題解決案の提案・決議を行うサイバーエージェント独自の会議のこと。

--なぜ、そのような会社の設立を提案したのですか。

曽山:当時の内定者インターンが「就活番組をやれば採用に繋がるのでは」と提案してくれて、就活番組の生放送「就活チャンネル(https://freshlive.tv/cyberagent-recruit-ch )」の制作をしたんです。
その後、3ヶ月のあいだ毎日更新を続けてみたところ、100番組で約50万視聴まで達したり、実際の面接の場でも「就活チャンネルを観て、曽山さんがどんな人なのか調べてから来ました」と言われたりと、かなりの反響がありました。

そのとき、動画の“伝達効果の強さ”を実感したので、事業として本格的に取り組むことに決めたんです。

--「就活チャンネル」の反響を受けて、事業化を決めたのですね。しかし、そのまま「就活番組」ではなく「販売促進番組」をすることになったのはなぜですか。

曽山:サイバーエージェントの事業により結びつけるためにはどうしたらいいだろうと考えたんです。そこで着目したのが、“広告事業”。クライアントの企業にとって役立つ動画制作ってなんだろうって考えたときに、「企業の商品を紹介する番組が良いのではないか」という話になり、「販売促進番組」という方向性に決まりました。

--そうした経緯があったんですね。曽山さんは、事業化当初から「ソヤマン」として番組のMCもやっていらっしゃいますが、なぜそのようなことをしようと思われたのですか。

曽山:販売促進番組を制作するとはいえど、普通に撮って普通に放送するだけでは独自性がない。どうせなら突き抜けたコンテンツに挑戦したいと考えていたので、私が自ら出演してみようと思ったんです。

そもそも「東証一部の取締人事部長」という存在自体、他の企業ではあまりいないですし、その上に「子会社で社長を務める人事部長」もあまりいません。「ライブ配信をする“人事部長”兼“社長”」は、もっといない。

「どこまで突き抜けられるのかやれるところまでやろう!」と思って、活動を始めてみました。

SNSのフォロワー、約2万人。ビジネスマンに確実なリーチを届けるインフルエンサーとして

--曽山さんに「販促番組」を依頼する企業は、どのようなニーズを抱えている場合が多いのですか。

曽山:「ビジネスマンに特化したリーチを狙いたい」というのが、一番のニーズだと思います。

ビジネスマンのフォロワーが多い人って、堀江貴文さんのような有名人クラスの人を除くとあまりいません。現在、私の各SNSアカウントをすべて合わせると、約2万人のフォロワーがいるのですが、サイバーエージェントの人事統括という立場上、社内にいる若い人たちや、人事ネットワークで繋がっている他企業の人事など、ビジネスマンのフォロワーが多いんです。

--ビジネスマンのフォロワーが多いことは、確かに曽山さんならではの特徴ですね。

曽山:そうなんです。そのため、「若いビジネスマンにサービスを知ってほしい」「評価制度サービスを人事にアピールしたい」など、“ビジネスマンに確実なリーチを届けたい”と考えている企業に、多く活用いただいています。

ゲーム実況ならぬ“サービス実況”で、商品の魅力を伝えていく

▲3月14日にFRESH!で放送された「ソヤマンのPICTCAKE徹底解剖!」。
噂の新商品を生放送で試す「ビフォーアフターチャンネル」という番組の企画。実際に企業の方から話を聞きながら、生命保険や海外で使えるWiFiサービスなどを紹介している。

--具体的にはどのような商品を取り扱っているのでしょうか。

曽山:例えば、株式会社BAKEが発売している「PICTCAKE」。スマートフォンで簡単に写真付きのケーキが注文できるサービスです。

--写真付きのケーキですか!具体的にはどのような内容を放送したのですか。

曽山:ケーキが製造される過程や、こだわりについて直接企業の方に話を伺い放送しました。また、視聴者にどれだけ簡単にサービスの申し込みができるのかを伝えるため、実際にサービスを使った実演もしました。ゲーム実況ならぬ、「サービス実況」ですね。

--確かに、視聴者にとっては具体的な使い方が分かる方がサービスへの興味が湧きやすいでしょうね。

曽山:表彰された社員に、上司からの動画メッセージとともにケーキをプレゼントする企画を放送したりもしました。

祝われた社員が感動した様子を放送することで、「社内のサプライズ演出に、PICTCAKEがおすすめです」というメッセージを込めたんです。具体的な使い方に加えて、「サービスを使うことに、どのようなメリットがあるのか」を直観的に伝えられるのが、「販売促進番組」の魅力だと考えています。

動画は人を動かす力がある。「開脚チャレンジ」で確信した動画の効果

▲28日間のトレーニング結果。日々練習を積み重ねてきた経過と共に、その驚くべき効果を紹介している。

--これまでさまざまな制作をしてきて、伝達効果を最も強く実感した企画は何ですか。

曽山:弊社を設立してから最初に企画した「開脚チャレンジ」ですね。これは、『どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法』(Eiko著/サンマーク出版)という人気の本を実践した企画です。

「1日5分間の開脚トレーニングを4週間続けると体が柔らかくなる」という内容だったので、僕自身が28日間続けてみました。

最初は社員も一緒にやっていたのですが、僕の都合で撮っていたので社員が参加できなくなってしまい、途中から僕一人で(笑)。結果的には開脚出来るようになったのですが、企画が終わって半年以上が経った今でも、「開脚の番組、観てます!」と声をかけていただくことがあるんです。

--半年経った今でもそのように言われるのですか!視聴者にそれだけのインパクトを与えているということですね。

曽山:動画の伝達効果の強さに驚きましたね。一度動画に出ただけで、ここまで強い印象を与えられるのは、動画ならではだと思います。

セミナーをアピールするにしても、文字ではなく動画によって実際に動いている姿を見せたほうが視聴者にとって理解しやすいですし、印象に残りやすい。動画の可能性はこれからもっと大きくなっていくと思います。

自らの「強み」を活かして、新しいジャンルの動画にも挑戦していく

--ライブ配信の動画は編集できないため、出演のハードルが高いように感じます。そのあたりは、不安には感じませんでしたか。

曽山:確かに生放送は撮り直しがききませんからね。ただ、もともと“サイバーエージェントの人事統括”として人前で話す機会が多く、話すことに慣れていたので、それが役に立っているかもしれません。とても楽しく出演させていただいております。

--流石です!今後は、番組でどのようなことに挑戦していきたいですか。

曽山:今後は、もっともっと面白い企画にも挑戦していきたいです。実は僕、高校時代はストリートダンスを踊っていたので、ダンス企画とかをやってみてもいいかもしれない。「EXILEを完コピしてみたけど、完コピ出来ていない人事部長」とか、面白そうじゃないですか(笑)。

--面白そうなので、ぜひやってください!(笑)
最後に、まだ動画に手を出していない企業に向けてアドバイスを聞かせいただきたいです。

曽山:まずはやってみる。それが大事だと思います。やる前にいくら考えても、本質的な課題は見つかりません。不安はあるでしょうが、いろいろ撮ったり放送したりすることによって初めて、上手くいったこと、失敗してしまったところが見えてくるものです。

これまでお話してきたように、動画にはこれだけの可能性があります。
ぜひ皆さんも、チャレンジしてみてください!