仕事は「強みを活かす」ことで楽しくなる。5000人の社員を見てきたサイバーエージェント取締役人事統括 曽山哲人氏が出した答え

株式会社サイバーエージェントの人事統括。株式会社CyCASTの社長。その事業の中核である「販売促進番組」に出演するMC。そんな多彩な顔を持ち、「ソヤマン」という名で多くの人から親しまれる曽山哲人氏。

前半パートでは、株式会社CyCAST代表として、また番組に出演するMCとしての立場から動画広告を成功させる秘訣を伺った。今回ご紹介するのは、曽山氏が4月から新たに立ち上げた「強みを活かす」プロジェクトである。

自分にしかない“強み“とは何か。そんな悩みを持つ人々への手助けがしたいとの思いで始まった「強みを活かす」プロジェクト。

6月にはプロジェクトメンバーを募集するクラウドファンディングを行い、たった2週間で100万円の目標を達成した。最終的には4週間で200万の出資を集めるなど、ビジネスマンのみならず多くの人々から注目を浴びている。

人事部長として約5000人の社員を見てきた曽山氏は、なぜ「強みを活かす」ことに着目したのだろうか。その理由と、今後目指していきたい未来像について話を伺った。

「強みを活かす」こと。それが仕事を楽しむための必須条件

--「強みを活かす」プロジェクト、目標達成おめでとうございます!
さっそく単刀直入にお伺いしますが、なぜ「強みを活かす」という考え方に注目したのでしょうか?

曽山:ありがとうございます!
今回のプロジェクトで「強み」に着目した理由は、シンプルに言うと「強みを活かした働き方が出来ると仕事が楽しくなり、生産性が向上するから」です。

「働き方改革」という言葉が叫ばれているように、今、世の中は企業や暮らしの文化の転換期を迎えています。この流れの中で、個々の「強みを活かす」という新たな考え方を提案したい。

「強み」とは、相対的にほかの人より優れている、ということです。
その強みを最大限に引き出してあげると自信が持てますし、結果として仕事への熱意が増し、生産性が向上するのです。

--サイバーで何千人という社員を見てきた曽山さんが言うと、とても説得力があります。

曽山:これまで日本における人材育成は「弱みを潰すこと」に主軸が置かれていました。「君は〇〇が苦手だから、直した方が良い」というアドバイスはよく聞くと思います。
もちろん、それは悪いことではありません。しかし、弱点の克服だけでは、生産性を大きく上げるほどのモチベーションアップにはつながりません。

だから「強みを活かす」ことに注目したのです。

--これまで日本では、なぜ「弱みを潰すこと」を重視してきたのでしょうか。

曽山:弱みは実感しやすいものですし、克服する方法が明確だからだと思います。
「これが苦手だから、〇〇をすればいい」というのは、思い浮かびやすい。例えば、苦手なTOEICで600点だった場合は、800点を目指せばいいんです。

でも「あなたの才能を発揮してください」と言われても、分かりにくい。なぜなら、そもそも自分の才能が何なのか、分かっている人の方が少ないからです。

--確かに、自分の強みを聞かれてすぐに答えられる人は少ないかもしれません。

曽山:そうですよね。とはいえ、自分と他人は違うもの。みんな、「自分には何かしらの才能があるんじゃないか」と、薄々気づいてはいるはずなんです。それを僕は「強み」という言葉で表しました。強みを活かすことで、人々が生き生きと働ける世界を実現したいんです。

「効果性」が重視される現代だからこそ、一人ひとりの力を伸ばしていく

ーー「強みを活かす」という言葉は、とてもシンプルで分かりやすいですよね。

曽山:そうですね。こんなにシンプルな言葉なのに、実はこれまで「強みを活かす」という言葉がタイトルに入っている本はなかったんです。以前Amazonで調べてみた時に、一切出てきませんでした。これまで誰も注目してこなかった概念だということに、びっくりしましたね。

しかし、クラウドファンディングをいざやってみると、目標金額の100万円を2倍以上も上回る結果になりました。大学教授や大企業の人事部長、若いビジネスマンなど、多くの方から応援してもらえて嬉しかったですし、それだけ「強みを活かす」ことが求められるようになってきているのだなと実感しましたね。

--これまで注目されてこなかった考え方にもかかわらず、いま「強みを活かす」プロジェクトは多くの方から注目を浴びている。その背景には、どのような理由があると考えますか?

曽山:「働き方の変化」が影響していると思います。工場での労働が主体だった肉体労働時代は、いかに無駄を省くのかという「効率性」が最も重視されていました。しかし、知的労働が求められる今の時代では、「効率性」から「効果性」が求められるように変化したのです。

--「効果性」ですか。

曽山:「効果性」は、常務取締役の中山氏が提唱している言葉です。

これから人口減少が進む一方、人工知能(AI)がますます進化していきます。
「効率性」が重視されていた単純作業は、人口知能(AI)が人間に取って代わるかもしれません。しかし、その状況では、社会にイノベーションを起こすことは不可能です。

--確かに、単純作業だけではイノベーションは生まれません。

曽山:そうです。だからこそ、一人ひとりの強みを活かして独自の価値を創出する「効果性」を重視した働き方が求められるんです。弱点の克服だけでなく、一人ひとりの「強みを活かす」ことで、それぞれが持つ力を何倍にも伸ばすことができる。

一人ひとりが気持ちよく働けるだけでなく、社会にイノベーションを生むという観点からも、「強みを活かす」ことがこれからますます重要になってくるでしょう。

イベント主催に、動画配信。「動画×コミュニティー」で目指す未来

--7月19日(水)から曽山さんの新著「強みを活かす」(PHP研究所)が出版されますが、今後「強みを活かす」プロジェクトにおいて挑戦していきたいと考えていることはありますか?

曽山:直近で決定していることは、7月21日(金)に開催する「ストプロ会議」というイベントですね。4名の著名人と私が対談をするセッションを行います。

登壇者は、
・入山章栄さん(早稲田大学院経営管理研究家准教授)
・志水静香さん(ギャップジャパン株式会社人事部シニアディレクター)
・小竹貴子さん(クックパッド株式会社、2009年に「日経ウーマン・オブ・ザ・イヤー2010」を受賞)
・中竹竜二さん(日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター)
の4名です。彼らから、それぞれの立場からみる「強みの活かし方」についてお伺いします。

--豪華な登壇者の方々ですね!

曽山:そうですね!
今回のイベントでは映像配信プラットフォーム「FRESH!」で会員限定の生配信を送ったり、アーカイブでも観られるようにしたりしようと思っています。

--是非チェックさせていただきます。では、そろそろインタビューも終盤です。前半パートでは、株式会社CyCASTが展開する動画広告事業について、そして今回は「強みを活かす」プロジェクトについて伺ってきました。
今回のインタビューの総括として、株式会社CyCASTが目指す未来についてお聞かせください。

曽山:弊社のビジョンは「21世紀の放送局を創る」ことです。
そのビジョンを実現させるためには、まず「ビジネス動画においてNo.1」を目指そうと考えています。

--ビジネス動画という業界は、まだまだ前例の少ない領域だと思います。そのなかでNo.1を目指すためには、具体的にはどのように取り組んでいく予定ですか。

曽山:「動画×コミュニティー」が重要ではないかと考えています。

つまり、事業で得た“動画のノウハウ”と、私の活動を通して集まった “ビジネスマンのコミュニティー”。この2つで事業シナジーを生み出すということです。

「コミュニティーを作るだけ」「動画を作るだけ」にとどまらず、コミュニティー内でセミナーの生配信や勉強コンテンツをシェアできる仕組みづくりなど、これから様々な取り組みにチャレンジしていきたいです。