Facebook Japanが導き出した、動画クリエイティブの「ベストプラクティス」とは--モバイルファースト:動画広告の最適解(前編)

スマートフォンの急速な普及に伴い、企業が制作してきた広告に変化が起きている。その変化を表す代表的な言葉が、「モバイルファースト」だ。
近年のWeb開発において、テレビやデスクトップといった旧来のクリエイティブをそのまま反映させるのではなく「モバイル」に特化させたクリエイティブをすべき、という考え方を指している。

そのような「モバイルファースト」のクリエイティブについて答えを提示すべく、6月16日に「モバイルファースト:動画広告の最適解 -スマホ時代の新フォーマットと クリエイティブベストプラクティス-」が開催された。
登壇者は2名。Facebook Japan株式会社でリージョナル・プロダクトマーケティングマネージャーを務める小黒 弘之氏と、株式会社サイバーエージェントでアドテク本部 LODEOカンパニー責任者を務める加藤 徹氏である。

「モバイルファースト」な動画クリエイティブを目指すため、企業はどのような点に着目すべきか。Web領域を牽引するFacebook Japanとサイバーエージェントが導き出した最適解は、今後動画マーケティングに挑戦していく企業によって重要な指針となるだろう。
今回は前編としてFacebook Japan株式会社の小黒氏による講演レポートをお届けする。

モバイルシフトによって変わる動画の消費行動

小黒:Facebook Japan株式会社でプロダクトマーケティングマネージャーを務めております、小黒と申します。本日は、2014年から弊社が動画広告に取り組んできたなかで導き出した「動画クリエイティブのベストプラクティス」についてご説明します。

まずご紹介するのは「動画の消費行動の変化」についてです。
テレビの放映開始から、今まで私たちが目にしてきた動画広告は「形」「長さ」「音声」のフォーマットが決められていました。

例えば動画広告の形は、テレビをはじめ映画やデスクトップの仕様から「横長」で観ることが一般的でした。テレビCMの尺は30秒、60秒と「長さ」が決まっており、「音声」が伴われるもの、という決められたフォーマットがあったのです。

また動画広告はコンテンツの冒頭部分、あるいはコンテンツの間に配信するものでした。つまり、ユーザーは今までコンテンツを視聴するときに必ずCMを見ていたのです。

しかし近年スマートフォンの普及により、モバイル上での動画視聴が多くなったことで、動画広告にさまざまな変化が起きました。

まずは、掲載する“フォーマット”の変化です。テレビやデスクトップとは異なり、スマートフォンの画面は「縦長」になりました。テレビCMでは当然のように伴っていた「音声」は、ユーザーの状況に応じてオフになるケースも出てきました。また、最後まで視聴されない可能性があるため、決められた「長さ」もなくなりました。

そして、もう一つが“視聴行動”の変化です。モバイルは朝起きてから寝るまでのあいだ常に接触している一方で、その接触は非常に断片化されています。

こちらの図のように、参加者の皆さんも生活のスキマ時間にモバイルを利用する人が多いのではないでしょうか。思い立った瞬間にアプリを起動し、コンテンツに数秒目を向けたかと思えば、もう次のコンテンツを観ていたりと、短い時間でさまざまなコンテンツを観ているかと思います。

実際の調査でも、モバイル上で消費される動画コンテンツが増えている一方で、その動画コンテンツは、日中の活動の合間に消費できる「10分未満」のものが2/3を占めている、という結果が出ています。
つまり、これまでとは全く異なる「動画の消費行動の変化」が起きているのです。

以上のような「動画の消費行動の変化」を踏まえ、動画を作る際に企業はこれらの行動パターンを加味したクリエイティブにする必要が出てきました。

では、どのような点を大事にすればユーザーにメッセージが伝わるのでしょうか。これから、企業がモバイルファーストな動画クリエイティブを目指す際に重視すべき「4つのベストプラクティス」を、一つずつご紹介していきます。

1.素早くユーザーの注目をつかむこと

まずは1つ目の「注目を素早くつかむ」について。
モバイルの接触は断片化されているため、ユーザーはどのコンテンツに時間を使うか、素早く判断しています。そのため、まずは「フィードをスクロールしている指を止める」ことが、メッセージを伝える上で大変重要です。

具体的なポイントとしては、
・冒頭に一番魅力的なカットやシーンを入れる
・動画のサムネイルには目を引く画像を選ぶ
・主役を前面に出す
・ブランドイメージを想起させるものを早い時点で提示する
・コピーで映像を補足する
ことが重要になります。

そして、最近新たに追加されたポイントが「動画を15秒以内にまとめること」です。
15秒以内を推奨する理由としては「モバイルが他のメディアと比べて、コンテンツ一つひとつにかける時間が短い一方で、コンテンツの認知に要する時間も短いから」です。

弊社が行った調査によると、1コンテンツあたりの平均滞在時間はデスクトップが2.5秒、モバイルが1.7秒でした。つまりモバイルの場合、ユーザーは1.5倍の速さでコンテンツを閲覧していることになります。「短い時間で集中して動画を視聴する」ことが、モバイルならではの特徴といえるのです。

また、弊社では30秒動画を視聴した際のブランド効果を100として、3秒動画と10秒動画を視聴した際のブランド効果を調査しました。その結果、広告想起・ブランド認知・購買意欲において10秒に達するときには70%近い効果が得られることがわかりました。

長い動画では、ユーザーから飽きられてしまい離脱されてしまいます。一方で短すぎても、ブランド認知されない動画となってしまうでしょう。
だからこそ、ブランド効果を期待できる「15秒以内」で動画を制作することが重要なのです。

2.音声あり・なしでも変わらないクリエイティブづくりをすること

次にご紹介するのは、音声について。現在「インストリーム動画※」の再生時は、音声がオフになっている状態がデフォルトです。なので、もしテレビCMをそのままインストリーム動画に利用してしまうと、音声なしの再生になってしまいユーザーへメッセージを伝えることが難しくなってしまいます。

モバイルの環境状況に適した動画クリエイティブを目指すためには「音声なしの再生でも楽しめる」ということが重要です。

※インストリーム動画…Facebookのフィード上に表示される動画広告のこと。YouTubeなどの動画コンテンツの最初・途中・最後に表示される動画広告も含める。

事例として、Nestlé様の「Coffee Mate」という商品の動画広告クリエイティブについてご紹介します。こちらは、弊社のクリエイティブ監修専門部隊がモバイルに最適化させて制作した「音声なしの動画広告」になります。

いかがでしょうか。音声がなくても「Coffee Mate」の魅力が伝わりやすくなっているかと思います。

この動画の制作ポイントは、2つです。

まず1つめは「ビジュアルに語らせる」こと。例えば、この動画では最初のカップルをカット。最初の3秒に「商品」「商品名」「ロゴ」を入れることで、動画のなかで最も伝えたい情報を盛り込んでいます。これは1つめにご紹介した「注目を素早くつかむ」という点を踏まえています。

2つめは「文字や図を活用する」こと。砂糖・クリーム・ナッツなど、この商品が使っている素材の良さを映像で強調しています。
また字幕を追加させることで音声なしの再生にも配慮しつつ、音声ありの再生はより楽しめるようになっています。そして「疑問文」を入れることで、ユーザーの好奇心をそそり、離脱を防ぐ工夫をしています。

以上のように「モバイルファーストクリエイティブ」を重要視した動画制作をおこなった結果、最初にお見せしたテレビCMそのままの動画と比べて「広告想起」「商品認知」「再生時間」など、全ての数値が上回る結果となりました。

3.ユーザーの注意を引きやすいフォーマットを作ること

次にご紹介するポイントは「ビジュアル」について。
「引きが強い」と思われるポイントを際立たせたり、意外性のあるビジュアルを取り入れたりすることでユーザーの興味を引きつける構成が有効になります。

そして新たに加わったポイントが「縦長動画を撮影する」ことです。
以前、とあるキャンペーンを行った際に、Facebookのモバイルフィード広告に「縦長フォーマット」を採用したところ「広告想起」と「ブランド好感度」において効果が見られました。

この事例以外でも、弊社が縦長動画についてキャンペーン動画を配信した結果、そのうち7割で横長動画よりも縦長動画のほうが広告想起に3〜9ポイントほど上昇が見られました。

日本においても縦長動画を活用するケースは増えてきており、海外では主流になりつつあることを鑑みると、この傾向はより加速していくものと考えます。

4. 試行錯誤を重ねることで、自社のターゲットに合ったクリエイティブを見つけること

最後にご紹介するポイントは、「試行で有効な要素を知る」ことです。

モバイル上の広告は、近年とても注目を浴びていますが、まだ誰も絶対的な「勝ちパターン」を見つられていないのが現状です。企業によってターゲットや事業は異なります。それに応じて、効果的なクリエイティブも変わるでしょう。
だからこそ、さまざまなクリエイティブを試すなかで、自社のターゲット層にあった方法を見つけることが重要になるのです。

それを支援し、企業様が効果的な動画広告を制作できるよう、弊社では新しいツール「クリエイティブハブ」を昨年11月にリリースいたしました。

「クリエイティブハブ」とは、Facebook広告のフォーマットを使ってモップアップ(試作品)を作ったり、実際に広告としてどのように表示されるのかプレビューしたりできるツールになります。また、世界中の優れたクリエイティブ事例を見たり、社内外の方とアイデアを共有したりする機能もありますので、アイデアを得たいときにも有効です。ぜひ、ご活用ください。

本日は、モバイルに最適化された動画クリエイティブにおいて、大事にすべきポイントを4つご紹介してきました。ただ先ほども申し上げたとおり、モバイル上の広告はまだ発展途上です。
弊社でも、今後さらに「モバイル動画のベストプラクティスとは何か」について試行を重ね、アップデートをしていくつもりです。その際は、また改めて皆さんにご紹介できれば幸いです。

プレゼンテーションは以上になります。本日はお忙しい中ご来場、ご静聴いただきありがとうございました。