「成功の秘訣は、チャンネル運営を楽しむこと」Next Marketing Summitを振り返って――UUUM・笠原直人

2017年4月26日。スマートフォンゲーム業界で活躍するマーケッターや広告代理店、広告メディア関係者によるセッションや交流を目的とした国内最大級のイベント「Next Marketing Summit 2017 Spring」が開催された。

本イベントでは、動画配信を通じたユーザーコミュニケーションやスマホゲームIP化の最前線、スマホゲームの広告施策など、さまざまなテーマに基づいてモデレーターとスピーカーが登壇。各々が持つノウハウや経験を、セッション内で赤裸々に語り合った。

ONLINE VIDEO REPORT編集部は、「動画配信を通じたユーザーコミュニケーションの次の一手」においてモデレーターを務めた、YouTuberプロダクション企業であるUUUM株式会社のプランニングユニット ゼネラルマネージャー・笠原直人氏に取材を申しこんだ。

セッションの興奮冷めやらぬ中で実施されたインタビュー。笠原氏は、セッションを振り返っての感想やYouTubeチャンネル運営のコツなどを、穏やかに語ってくれた。

和やかな雰囲気で、動画の魅力が伝わるセッションになった

――まずは、今回の登壇どうもお疲れ様でした! 「動画配信を通じたユーザーコミュニケーションの次の一手」のセッションでは、株式会社エイリムの原田香(かおりんご)さん、KLab株式会社の柴田和紀(しばやん)さん、株式会社ミクシィのさなぱっちょさんという豪華スピーカーによって、動画配信について有益な情報が数多く話されていましたね。モデレーターである笠原さんがセッションで意識していた部分と、終えてみての感想を聞かせてください。

笠原:今回のセッションでは、「登壇者の方々の話を通じて、動画の持つポテンシャルを感じてくださる企業などが増え、ひいてはインターネット動画の発展につながれば」と考えて話をしていました。

原田さん、柴田さん、さなぱっちょさんの3者は動画への取り組み方はそれぞれ異なっていましたが、「動画の持つメリット」や「ファンとのコミュニケーションの取り方」など、動画配信に携わる当事者だからこそ話せる内容がたくさん出てきて、非常に良いセッションになったなと感じています。

▲セッションに登壇したのは、YouTuberプロダクションであるUUUMや、YouTubeチャンネルを活用したファンの獲得を成功させているエイリム、KLab、ミクシィという錚々(そうそう)たる企業。まさに、「動画配信を通じたユーザーコミュニケーション」というテーマを語るに相応しい顔ぶれだ。

セッション直後に、来場者の方とお話をさせていただいたんですが「配信者の生の声が聞けて、すごく楽しかった」という意見が挙がっていました。動画の持つ魅力が、少しでも来場者の皆さんに感じてもらえるセッションになったのは、純粋に嬉しかったですね。

――楽しさを感じられるセッションになったのは、どういったところに理由があると思いますか?

笠原:登壇者のお3方の話がすごく上手だったので、フランクな雰囲気で進行できたのが大きいと思います。通常、よくある広告関係のセミナーって小難しい話が多いんです。「費用対効果が○○○」とか「カスタマージャーニーが○○○」とか。でも、そうではなく「動画の楽しさ」にフォーカスを当てられたのが、良いセッションにできた要因だったのではないでしょうか。

だれでも、すぐできる。YouTubeの持つ大きな魅力

▲セッションでは、Twitterのハッシュタグを活用して登壇者への質問が寄せられていた。これは、その内容を確認しているワンシーン。

――今回のセッションではYouTubeの活用法についての内容がメインとなっていました。YouTubeというプラットフォームが持つ強みはどのような点にあるのでしょうか?

笠原:いくつかありますが、1つ目の強みは「やろうと思えば誰でもすぐできる」ことです。これは、セッションの中で柴田さんも話していましたね。YouTubeってチャンネルを立ち上げるのは無料ですし、極端な話スマホ1台あればスタートできます。

多くの企業って、YouTubeで動画配信を始めようとしたときに、すごく構えてスタートしようとしているんですね。たとえば、体制を組まなければいけないとか、外部にコンサルタントを依頼しなければいけないとか、プロデューサーを立てなければいけないとか。

でも、そんなに大げさな体制を構築する必要はなくて、もっと気軽に配信をスタートして、回を重ねながら内容をブラッシュアップしていけばいいと思うんです。

それから2つ目の強みは、コメント欄を通じてファンとのコミュニケーションが取れること。YouTubeってある意味、ソーシャルプラットフォームの1つだと思うんです。コメントにきちんと返信をすることで、関係が醸成され、ファンが増えていきます。

3つ目の強みとしては、ファンの解析ができること。先ほども話したようにコメントの内容からファンの声が直接聞けますし、YouTube Analyticsを活用することで定量的なデータも取得可能です。それらの情報を元にして、企業がどのような施策を打つかを考えやすいのも、大きな利点だと思いますね。

まずは、自分たちがチャンネル運営を楽しむこと

――企業がYouTubeチャンネルを立ち上げるにあたり「人気チャンネルにするために、ここは絶対押さえておいたほうがいい」というポイントはありますか?

笠原:今回のセッションでさなぱっちょさんも言っていたことなんですけど、「更新頻度を上げること」ですね。たとえば、月に1回しか動画がアップされないチャンネルだと、固定ファンってなかなかつきません。

更新頻度が週に3回だったらとても良い、4回だったらより良いし、毎日だったらもっと良い。「定期的に新しいコンテンツがアップされている」というイメージをファンに持たせることが、人気チャンネルになるための第一歩だと思います。

今回のセッションでも、みなさん「初期の段階ではKPIなどの明確な数字目標はなかったけれど、会社やコンテンツのファン、そしてユーザーとの絆をつくりたいという想いがあったからこそ、YouTubeチャンネルを始めた」と語っていました。

きっと、そのくらい肩の力が抜けた運営でOKだと思うんです。気負いすぎて完璧なものを月に1回出すよりも、ライトな内容でもいいから毎日アップしたほうがいい。その方が人気だって出るし、再生回数も伸びていきます。

――納得ですね。けれど、多くの企業はなかなか社内の体制が築けず、更新頻度を上げられないケースがほとんどかと思います。どうすれば、それを改善できるのでしょうか?

笠原:まずは、自分たちがチャンネル運営を楽しむこと。そして、ファンを楽しませることが大切だと思います。最初の段階で明確なKPIや費用対効果を求めてしまうと、継続するハードルがかなり上がってしまうんです。

たとえば、「アプリの新規インストールを促すためにチャンネルを立ち上げよう」といった目標をいきなり掲げるのはよくありません。初めのうちは成果が出にくいですし、成果が出にくいと社内で協力してくれる人も少なくなってしまいます。そして、悪いスパイラルに陥ってしまうんです。

今回登壇していただいたみなさんは、最初から効果を出そうとは考えていなくて、まずは「動画が流行っているからやろう。楽しもう」「ファンの方々にも楽しんでもらおう」というところからスタートしていました。だからこそ、ちゃんと運用に乗ったんだと思います。

運用が続くことでファンとのエンゲージが生まれれば、企業としても予算を出しやすくなるでしょう。そうすることで、プラスの相乗効果が生まれていくのではないでしょうか。

YouTubeのファンって不思議で、チャンネルに出演している人自身が楽しんでないと、すぐに離れてしまうんですよ。だからこそ、「仕事だから仕方なくやっている」という雰囲気が出てしまうのは絶対に良くないと思いますね。

大事なのは、少しずつファンを積み重ねていくことです。企業が運営しているチャンネルで爆発的にバズらせるって難しいと思うので、前月比120%の伸び率を12か月きちんと継続し続けることが大事になってきます。それを続けていけば、最終的には大きな伸びになっていくでしょう。

そうした運用を続けていき、ファンを増やし続けていくことが、最終的にはマーケティングの成功にもつながると思うんです。

――動画マーケティングの最前線にいる方だからこその意見、とても参考になりました。今後も、動画配信やYouTuberを活用したプロモーションを実施する企業が増えていくといいですね。今回はどうもありがとうございました!